やっぱり出た!これから不認定続発か?!
2009年12月7日

公益総研 非営利法人総合研究所
主席研究員兼CEO 福島 達也

 

昨年の12月1日の法律施行から、すでに24000の公益法人のうち、350法人が公益法人になるべく認定申請を、又は一般法人になるべく認可申請をすでに行っているが、1年間とうとう不認定や不認可は出ないとみられていた。

しかし、驚くべきことに、もうすぐ1年が終わる11月末に内閣府は初めて公益法人へのダメ出しをしたのだ。

そう、不認定の答申を下したのである。それも、私の予想通り「社団法人」が最初のターゲットとされたのだ。

前にも述べたが、一般的な財団法人と同業者団体で構成する社団法人を同じ法律で裁くことは本当に難しい。
いや、難しいというよりも、無理があるのだ。



 そもそも機関設計が全く違う財団と社団。なのに、なぜそれを同じ認定基準で裁くのであろうか。

 特に問題なのが、公益目的事業の対象だ。市民のための事業は公益で、会員のための事業は非公益ということが改めて確認されたことになる。

 今回の内閣府公益認定等委員会の裁きだと、会員企業の宣伝につながる事業は一切公益目的事業にならないという判定を下した。

 しかし、高い会費を会員からもらっている社団法人が、会員企業に何もメリットをもたらせないで事業を展開することはなかなか難しい。

   「あの協会は、社会にとても貢献しているから、年に10万円払ってあげよう・・・」等という会社がこの不況下であるだろうか。
 そんなことしたら、取締役は株主から当然退席を迫られるだろう。

 つまり、あまり会員のメリットを意識しないで事業を展開すれば、会員企業はもちろん退会するだろうから、経営的なことを考えると、メリットを無視することはできないのである。

 もちろん、そういう事業は「公益目的事業」にしないで、「その他事業」にすればよいと100人いれば100人が言うだろう。

 しかし、それでは公益目的事業比率が50%を超えないとしたら、それは無理な話だ。

 ならば一般社団法人に進めばよいというのが国の考え方だが、そういう団体をそもそも公益法人と認めたのは誰でもない国なのだ。

 つまり、以前は社団法人というのは、会員のメリットを最大限に生かして会員を増やし、その業界のシェアを牛耳ったらご褒美として社団法人の看板をいただけたはずなのだ。



私が知っている団体は、ある中央省庁から当初「業界のシェア70%以上で社団OK」とニンジンをぶら下げられた。

それが何年たっても無理だとわかると、天下り先を確保したいとい気持ちの表れか、いつの間にか「シェア50%以上」にハードルが下がっていた。それ以下に下がらなかったが、とにかく会員を集めろ増やせの一点張りだった。

その当時を思い出しても、業界のシェア以外に要求されたものは何もなく、そのハードルを晴れてクリアしたら、まもなく社団法人の許可が下りたのだ。

それが社団法人の許認可の現状だった。



それなのに、新法では、業界のシェア増につながる会員のメリットを追求するような事業は、公益目的事業に認めなかったので、公益法人になりたい社団法人はますますその共益性を捨てることとなり、社会に良いことをすればするほど会員が減るという現象がやがて訪れるのではないだろうか。



私の持論だが、社団法人と財団法人を別の認定基準で認定したらどうだろうか。

公益認定法第5条第8号にある「公益目的事業比率が50%以上」を、社団法人に対しては「その業界に占める企業の50%以上の会員を有する」という条文と選択できるようにしてあげたらどうだろうか。

だって、同じく5条第1号に「公益目的事業を行うことを主たる目的とするもの」とあるのだから、目的やミッションが公益的であれば、それだけで営利目的の団体を防ぐことができるからだ。



社団法人の肩を持つわけではないが、明らかにこの法律は財団に有利で社団に不利だ。

そのうち、この世界は、4つの法人格ではなく、公益財団法人と一般社団法人の2つにすみ分けられていくような気がしてならない。



「天下りの防止と税金の無駄をなくす」という目的で始まったこの制度改革のはずだが、思わぬ方向に進んでいると思うのは私だけだろうか。

公益総研株式会社 非営利法人総合研究所

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